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看護婦 転職を把握しよう

最近公表された政府の「雇用政策基本方針」(2008年2月かつての雇用対策基本計画)が衣替えしたもの)をみるかぎり、政府の「エイジフリー」のスローガンはなお維持されているようである。
雇用政策基本方針―すべての人々が能力を発揮し、安心して働き、安定した生活ができる社会の実現また、意欲と能力があれば65歳までに限らず、65歳を超えても働ける社会の実現に向けた取組を進めていくことが必要であり、ができる社会を目指す取組の一環として、「70歳まで働ける企業」の普及・促進を図るなど、60歳代半ば以降の高齢者が働ける職場を増やしていくとともに……。 ちなみに内閣府も毎年、「エイジレスーライフ」(年齢にとらわれず自らの責任と能力において自由でいきいきとした生活を送ること、の意味だそうである)実践者というキャッチフレーズの下、70代、80代を中心に様々な分野で元気に活躍するお年寄りの姿を広く全国に紹介するという事業を実施している。
ちなみに「表彰」ではなくあくまで「紹介」のようである……副賞を出す予算はなかったのだろうか。 「一年間お医者さんかかり放題パスポート」とかをプレゼントすれば喜ばれたのに。
法律学の立場から「エイジフリー社会を目指すべきだ」という主張は、様々な分野の専門家の間からも上がっている。 別にお上にわざわざ言われなくても、エイジフリー社会がイイってことくらいわかってるよと専門家の皆さんも言ってるというわけだ。
というかまあ、専門家が言ってるから政府もそれを取り入れた、という順番が正しいのかもしれないが。 法律学、とくに労働法学の分野では、すでに1970年代から、定年制は年齢のみを理由とする不合理な差別であり、違法・無効であるという見解が主張されていた。

ちなみにこの主張が強くなされるようになった背景には、1968年に出された最高裁の秋北バス事件判決があった。 この事件では、会社が定年年齢を引き下げることの是非が争われたが、最高裁は、当時一般的であった55歳定年制について「不合理なものとはいえない」と述べた。
このことへの反発から、定年制違法論が主張されるようになったのである。 人をその肌の色だけで判断し、その人の中身をみないのはおかしい=人種差別女性だというだけでその人の能力を低いと考えるのはおかしい=性差別これらと同様に、年を取ってるからとか何歳だからだとかで人を判断するのはおかしい=年齢差別と考えるのだ。
まだまだ能力があるかもしれないのに、何歳になったからというだけで会社辞めろなんてそれは年齢差別だ、人権侵害だ、違法だ、公序良俗(民法90条)に反する、ということである。 そして最近でも、今後立法によって雇用における年齢差別を禁止し、定年制など雇用における年齢を基準とする仕組みをなくしてエイジフリーにしていくべきだ、という見解が法学者の一部から主張されている。
経済学の立場から経済学の立場からも、エイジフリーの理念に基づく年齢差別禁止法を制定し、定年制や募集・採用時の年齢制限を違法とすべきであるという主張がなされている(S・A・生涯現役社会の条件)。 法律学者はなにかというとすぐ「人権」とか「正義」とか言い出す(そしてウザがられる)が、これに対応する経済学者の口癖は「効率性」だ。
エイジフリー社会の方が今の社会よりもっと効率がいいぞということである。 本格的な高齢社会がやってくる。
高齢者にもっともっと長く働いてもらわなければならないのに、定年制によって、どんなに意欲や能力があっても高齢者はいやおうなしに退職させられてしまう。 能力のある高齢者が定年制によってその能力を最大限に発揮するチャンスを閉ざされてしまう。

このような労働市場は効率がよくない。 また、内外の競争激化(よく聞くフレーズだが、要は中国のパワー増大ってことだろう)により、企業の栄枯盛衰のサイクルはどんどん短くなった。
倒産とかで、あるいはM&Aで会社が買収されるとかで、中高年が転職活動をする羽目になるのはもはやちっとも珍しいことではない。 にもかかわらず、募集・採用時に年齢制限があることで、意欲と能力のある中高年層がその年齢だけを理由に「門前払い」されている。
それは市場におけるスムーズな労働移動を妨げるものだし、中高年が最大限にその能力を発揮する機会をも妨げている。 それは効率的でない。
これらの非効率をなくすためには、年功賃金・年功的処遇という日本の伝統的な人事制度を能力主義的な人事制度へと変え、エイジフリー社会をつくっていくべきなのだと主張するのがこの立場である。 老年医学の立場からまた老年医学の立場からも、「75歳現役社会」をつくっていくべきであるという興味深い主張がなされている(和田秀樹・75歳現役社会論)。
それによれば、世間一般のイメージとは違って、知的機能も、体力も、精神的安定度も、よっぽどの肉体的・精神的重労働でなければ、人間は75歳までは十分に実用に耐えうるレベルを維持できる。 新しい技術についていけないという意見もあるが、むしろITの進歩が記憶や単純計算など高齢者が衰えがちな能力を補う役割を果たしうる。
それなのに75歳までの「ヤングーオールド」層の雇用が進まないのは、雇う側に高齢者に対する偏見があるからであり、この点は今後もっと啓蒙していく必要がある。 ただ高齢になるほど個人差が大きくなるのも事実なので、定年や年金の受給資格などについては、年齢を基準に画一的に処理するのではなく、自己決定権をもっと認めるべきである、とする。
要するに、60歳を待たずに引退して悠々自適という人がいてもよいし、75歳まで会社に雇われる人がいてもよい。 それは本人が決めること、年齢ではないのだ、ということであろう。
まさにエイジフリーの主張そのものである。 定年退職は高齢者にとっての「喪失体験」となり、大きな精神的ダメージをもたらしうるという指摘もなされている。
アメリカでもヨーロッパでもすでに少し触れたが、エイジフリー社会を目指そうとしているのは、日本だけではない。 それはもはや世界的なトレントである……というとなんだか日本が先頭を切っているようだが、もちろん現実は逆である。

日本が諸外国、というか欧米のあとを追おうとしている、というのが正確だろう。 「エイジフリー先進国」といえるのがアメリカだ。
アメリカはすでに1967年に「雇用における年齢差別禁止法」を制定している。 この法律は、採用、昇進・昇格、賃金決定、解雇など、雇用のあらゆる局面における、年齢に基づくあらゆる形態の差別を禁止する連邦法である。
したがって、募集・採用時に「35歳まで」「40歳未満の方募集」などと年齢制限をつけること、また定年制のように一定年齢到達のみを理由として強制的に退職させる制度を実施すること、このいずれもがアメリカではすべて違法である。 なおこの法律の保護の対象となるのは40歳以上の者であるが、州によっては、全年齢を対象とする、より適用範囲の広い年齢差別禁止法を州法として実施しているところもある。
またヨーロッパでも、2000年11月のEC指令(まあ、EUの法律だと思って差し支えないだろう)78号が、雇用における年齢差別を原則として禁止している。

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